例年10月の末には始まっているヒラメ釣りではあるが、やはり本番はこれからの冬季だ。春からの産卵に向かうその魚体は厚みを増し、下がる水温に反比例して上品な脂を乗せる。座布団と呼ばれる大型が出るのはこの季節が圧倒的に多い。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 峯卓)
着底したら底を切る
元気に泳ぐイワシに仕上げられたら、サミングしながら中速で落としていき、着底したら素早く底を切る。捨てイトの長さにもよるが、概ね1~2m、リールのハンドル2~4回は上げて構わない。
誤解されている人が多いのだが、ヒラメが底に腹を着けた状態で食わせるのではない。頭上のイワシに飛びつかせてアタリを出すのが、一番掛けやすい釣り方なのだ。時に底ダチを取り直すことは確かに重要ではあるが、それより大事なのは必ずイワシが少し上を泳いでいることだ。
心配しなくても1m浮こうと2m浮こうと、底にはわせたイワシよりはるかに多くアタリは出る。ガッガッ!とアタれば、決して焦らずロッドをキープする。
かみついたイワシの向きは運次第だが、縦ならそれほど間を空けずにのみ込んで海底に向かおうと、大きく引き込んでくれるはずだ。
微妙なアタリでも焦らない
一番多いパターンで、アワセをミスると無惨な歯型だけを残して悩ましいのが、イワシを横に食ったときである。ガッガッの後も、クンクンガッガッとアワセに迷うあの例のヤツだ。くわえ直そうと口の開閉を繰り返しているか、口に感じたハリの違和感で吐こうとしているのかは定かではないが、このタイミングでアワせてもなかなかうまくいかないし、かといって待ったところで食い込まずに逃げられることもしばしばだ。さぁ~どうします?
ゆっくりと、2秒でハンドル1回転くらいのスピードで巻き上げていただきたい。送るんじゃなくて、さらに上げてやるのだ。5回も巻かないうちにヒラメは底に戻ろうと反転してくれるので、そのタイミングがアワセ時だ。
大きいストロークでゆっくりとロッドを立てれば、高確率で掛かるハズである。ポンピングせずに中速でタモに誘導すれば、真冬の大仕事の完了なのだ。
100%掛かるのか?と問われれば申し訳ないが、NOだ。だからこそヒラメは釣り人を惹きつけ、100%じゃないからこそアタリを多く出せた人が釣果につながるのだ。
真冬の海に人間ができる小細工なんて1つしかない。イワシ大先生をとにかく長く元気に泳がせる。実は足元のバケツの中ですでに結果が決まっていたりするんである。
<週刊つりニュース中部版 峯卓/TSURINEWS編>