「ホンモロコ」を小学校のプールで養殖 実は各地で養殖される注目魚?

「ホンモロコ」を小学校のプールで養殖 実は各地で養殖される注目魚?

コイ科の小さな高級魚「ホンモロコ」。実は今、各地で熱視線が注がれている存在です。

(アイキャッチ画像提供:小宮春平)

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プールで「ホンモロコ」養殖

愛媛県新居浜市にある多目的複合施設で、いま「ホンモロコ」の養殖実験が行われており、話題となっています。ここは廃校になった小学校の校舎を活用した施設で、25mプールを養殖池に再利用しています。施設の指定管理を担う地元ケーブルテレビ局によって2021年11月から実施されています。

「ホンモロコ」を小学校のプールで養殖 実は各地で養殖される注目魚?ホンモロコ(提供:小宮春平)

今回の養殖実験の特徴は、情報通信技術(ICT)を活用していること。効率的な陸上養殖の仕組みを確立することを目標に、様々な設備が実装されています。例えば水中には水温などを測定するセンサーを設置し、スマートフォンなどの端末で遠隔操作・管理が可能となっています。また、水中の酸素やアンモニアの数値もリアルタイムで把握でき、大量死などの事故を防ぐことができるそうです。

昨年11月にはこの「ICT養殖」の仕組みを紹介するイベントも開催。その際、ホンモロコの試食会も行われたそうです。(『高級淡水魚「ホンモロコ」 廃校プールで養殖挑戦 新居浜 旧若宮小の「ワクリエ」 ICT活用し実験(愛媛)』愛媛新聞 2022.1.17)

「ホンモロコ」

ホンモロコは一般的にはさほどメジャーな魚とは言えず、名前を知らないという人も多いかと思います。しかしその一方で、意外と全国各地で養殖されている魚種でもあります。

「ホンモロコ」を小学校のプールで養殖 実は各地で養殖される注目魚?漁獲されたホンモロコ(提供:茸本朗)

現在では原産地の滋賀県の他、福岡県、千葉県、埼玉県などの「大河があり淡水魚食文化が残る地域」で養殖されているようです。とくに埼玉県は日本一の養殖生産量を誇っており、当地ではれんこんの栽培とホンモロコの養殖を同じ池で行うなど特色ある養殖が行われています。

また、鳥取では休耕田を活用しての養殖が行われており、こちらも生産量上位となっています。

ホンモロコに注目が集まるわけ

ホンモロコはもともと琵琶湖周辺にのみ生息する滋賀県の固有種です。コイ科の淡水魚で大きくても10cmちょっとの小魚ながら、臭みがなく、骨が柔らかく、脂ののりがよいという特徴があります。

淡水魚で最も美味しいという評価をする人もいるほどで、京都では高級魚として扱われています。鱗が柔らかく、調理法によってはまるごと食べられるため加工も容易です。

「ホンモロコ」を小学校のプールで養殖 実は各地で養殖される注目魚?ホンモロコの南蛮漬け(提供:PhotoAC)

これらの好条件に加え、ホンモロコには水質変化や寒暖差に強く、比較的育てやすいという大きなメリットがあります。淡水魚なので、海水魚と比較して小規模養殖が容易である点も見逃せないでしょう。

これらの理由から、今後もホンモロコの養殖生産量は増えていくのではないかと考えられます。地域を問わず、スーパーなどで気軽に購入できるようになる日も来るかもしれません。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>