アサリ復活事業に高評価 全国的な減少傾向の歯止めに「砂利」が有効?

アサリ復活事業に高評価 全国的な減少傾向の歯止めに「砂利」が有効?

かつては潮干狩りのメインターゲットであったアサリですが、現在は全国的に減少してしまっています。そんなアサリの減少を食い止め&増加させるために「砂利」を利用する例が増えています。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

TSURINEWS編集部

その他 サカナ研究所

「アサリ復活事業」に高評価

全国の若年世代漁業者や女性漁業者が、日頃の研究・実践活動の成果を発表し、交流することを目的として毎年開催されている「全国青年・女性漁業者交流大会」。先日行われた第26回同会においては、三重県の松阪漁協採貝部会による発表が、水産庁長官賞を受賞しました。

アサリ復活事業に高評価 全国的な減少傾向の歯止めに「砂利」が有効?アサリ(提供:PhotoAC)

この発表は「前浜に再びアサリを~俺たち漁師ができること~」というタイトルのもの。水産庁長官賞は農林水産大臣賞に次ぐ賞で、これとあわせて特別賞である「全国水産試験場長会会長賞」も獲得する形となりました。

このダブル受賞は、同漁協の具体的かつ先進的な取り組みが高く評価されたことによるものと言えそうです。(『松阪漁協が水産庁長官賞 アサリ復活に取り組む 三重』伊勢新聞 2021.4.6)

松阪漁協の取り組み

遠浅の伊勢湾に面した松阪漁協。この漁協の管区では、主にアサリの採貝と青ノリの養殖が行われています。松阪市の伊勢湾沿岸はかつては県内有数のアサリ産地だのですが、平成31年3月以降は全く採れなくなっていたそうです。

アサリ復活事業に高評価 全国的な減少傾向の歯止めに「砂利」が有効?遠浅の伊勢湾(提供:PhotoAC)

このままではメインの漁獲物を失ってしまうと危機感を覚えた同部会では、非漁業者のアサリ採捕を禁止するとともに、アサリを増やすための施策に取り組んできました。これは具体的には「海底に小粒の砕石をまく漁場造成」と、「干潟への網の敷設」の2点の施策で、アサリを食害する魚類の摂食を妨げる効果があるそうです。

いずれも小さくない効果を上げているといいますが、砕石をまく事業は年間400万円かかるそうで、これについては松阪市が半額を助成しているそうです。

有明海で好実績

松阪沿岸に限らず、全国的にその数を著しく減らしているアサリ。東京湾や浜名湖などといったかつての名産地は軒並み壊滅状態になり、流通の場でもこれらの産地のものはあまり見かけなくなりました。

変わって見かけるようになっているのが、九州屈指の内湾である有明海に面した福岡県、佐賀県、熊本県などの産地のもの。実は全国のアサリ産地の中で、例外的に保全・増殖に成功しているのがこの有明海なのです。

アサリ復活事業に高評価 全国的な減少傾向の歯止めに「砂利」が有効?アサリの増えた有明海(提供:PhotoAC)

有明海のアサリも、かつて乱獲や生息適地の減少により大きく減少した時代があったのですが、ここでもまた「砂利」を用いてアサリを増殖させることに成功しています。ここでは海底に砂利を撒くのではなく、網袋に砂利を詰めたものをアサリの生息地に置くという方法を取るそうです。この場合も、砂利袋内でアサリの稚貝が安全に成長することができるため、採苗器として機能するのだそうです。

今後、各地の生息地において「砂利」でアサリを増殖させることが行われるようになっていくかもしれません。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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