陸から2.5m『エイ』が釣れたと話題に 実は身近な巨大エイの仲間たち

陸から2.5m『エイ』が釣れたと話題に 実は身近な巨大エイの仲間たち

とんでもなく大きなエイが釣り上げられたというニュースがTwitterで話題になりました。実は身近な「巨大エイ」たちについてまとめました。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

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陸から2.5mエイが釣獲される

いま、Twitterで公開されたとある「エイ」の画像が大きな話題になっています。

写っているのは、人の背丈よりも遥かに大きいエイ。アカエイ科の一種・ホシエイという種類で、それ自体は決して珍しい種類ではありません。

陸から2.5m『エイ』が釣れたと話題に 実は身近な巨大エイの仲間たちホシエイ(提供:PhotoAC)

しかし、驚くべきはその大きさ。ツイートによると「全長2m50cm、体盤幅1m80cm、150kgオーバー」とのことで、現在のホシエイの世界記録サイズを遥かに超えていると見られるそうです。

この個体は伊豆諸島の岸壁から釣り上げられたそうで、ここまでのものが離島とはいえ東京都下、しかも船ではなく陸から釣り上げられるというのは、本当にすごいことです。

身近な大物・エイの仲間たち

このホシエイほどのものは早々出会えませんが、しかし我々一般人が自然環境下で最も普通に目にすることができる巨大魚といえば、やはりエイになるのかなと思います。

エイの仲間は大きさを問わず浅いところに多く棲息しており、船に乗らずとも見かけることができます。都心に近いところでも、運河沿いを歩いていたり、大きな川に掛かる橋の上から川面を見下ろしたときに、水中を舞う大きな影に目を奪われるのは珍しいことではないでしょう。

とくに以下の3種は、釣りをしない人でも目にする機会が多いといえるもの。まさに「身近な大物」と言えるでしょう。

都心の大物・アカエイ

我が国で最も馴染み深いエイのひとつがアカエイ。東京都心の運河でも、その大きな鰭を翻して泳ぐ姿がよく目にされます。

陸から2.5m『エイ』が釣れたと話題に 実は身近な巨大エイの仲間たちアカエイ(提供:茸本朗)

ときに浜辺の波打ち際で見かけることもあるほど浅い場所を好みますが、その全長は最大で1.5mほどにもなり、近くで見ると迫力満点です。

性質は穏やかですが、潮干狩りの際に間違って踏んでしまい、危険な毒棘で刺されるという事故がしばしば発生するので、海に立ち入るときは注意が必要です。

外海の怪魚・ホシエイ

上記のアカエイと比べると、より外洋に面した潮通しの良い場所で見られるのが、今回話題になったホシエイ。アカエイと同じアカエイ科に属しシルエットが似ていますが、より厚みがあり、長さが同じでもアカエイと比べると目方はより重くなります。

陸から2.5m『エイ』が釣れたと話題に 実は身近な巨大エイの仲間たち魚屋で購入したホシエイ(提供:茸本朗)

アカエイより大きくなり、体盤幅1mくらいの大物もよく網に入るようです。定置網漁が盛んな地域では流通することも多く、その大きさゆえに魚屋の店頭で存在感を放っています。エイの仲間の中では味の良いことが知られ、高値がつくことも。

瀬戸内の重戦車・ナルトビエイ

これらのエイは食用種として古くから多少馴染みがありますが、一方で最近急激に増え、注目されているエイがいます。最近瀬戸内海で増えている、ナルトビエイというエイです。

ナルトビエイはダイビングで人気の「マンタ」ことオニイトマキエイと同じトビエイ目に属し、形もなんとなく似ていて親しみが持てそうな感じもあります。しかしこのエイは貝を特に好み、漁業資源として重要なアサリなどの二枚貝を暴食するために漁師さんを困らせてしまっている厄介な存在。瀬戸内海や有明海などではなぜか数が増えており、駆除の対象ともなっています。

陸から2.5m『エイ』が釣れたと話題に 実は身近な巨大エイの仲間たちトビエイの仲間は中層から表層を泳ぐので目にしやすい(提供:PhotoAC)

釣りで狙われることはあまりありませんが、針にかかるととてつもない馬力で引きずりまわすため、釣り人たちの間では「重戦車」と言われて恐れられています。食用に慣れることはほぼ無いようですが、実際に食べた人によるとまあまあ美味しいそうで、今後食材として活用されることがあるかもしれません。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>