11月28日、遊漁船「第5不動丸」と貨物船「はやと」が衝突し、第5不動丸の乗客乗員12人が投げ出され、乗客1人が亡くなる事故が発生。これを機に遊漁船の衝突事故について調べてみました。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS編集部)
衝突事故の概要
11月28日午前5時25分ごろ、茨城県の鹿島港の港口付近で、広島市の貨物船「はやと」(498t)と鹿嶋市の遊漁船「第5不動丸」(4.95t)が衝突、第5不動丸の乗客乗員12人が投げ出され、乗客1人が亡くなりました。
30日には、鹿島海上保安署による陸上に引き上げられた第5不動丸の実況見分があり、捜査員は右舷側が大きく壊れている第5不動丸の船体の写真を撮り、損傷部分の大きさを測るなどして詳しく調べました。両船の事故後の状態から、はやとの先端と第5不動丸の右舷が衝突した可能性があるとの見解です。
貨物船との衝突事故は全体の6.8%
今回の事故を機に、過去の遊漁船の事故について調べてみました。資料(~事故等調査事例の紹介と分析~運輸安全委員会ダイジェスト第29号)によると、平成20年10月から平成30年の3月までに起きた遊漁船の衝突事故は「176件」で、遊漁船から見た事故の相手船はプレジャーボートが一番多く87、次いで漁船49、遊漁船が14、貨物船12、その他14という内訳だったそうです。
半数以上は死傷者あり
次に衝突に伴う死傷者の状況を見てみると、176件中93件の事故で195人の方が死傷しています。そのうち、遊漁船側では98人の方が死傷し、「82人」が釣り客だったというデータが出ています。また、プレジャーボートとの衝突ではプレジャーボート側に、漁船との衝突では遊漁船側に多くの死傷者が発生しています。
8割以上が航行中の事故
遊漁船の衝突事故176件を、遊漁船と相手船の航行状態で整理すると、航行中の遊漁船の衝突事故は144件(81.8%)、このうち漂泊または錨泊中の船舶との衝突事故は109件(75.7%)で、遊漁船の衝突事故全体で 61.9%を占めています。
また、176件の事故に関係した遊漁船190隻が「事故に至る前に相手船に気付いていたか否か」を航行状態毎に整理したところ、航行中だった遊漁船145隻では120隻が、漂泊又は錨泊中の遊漁船では45隻中16隻が相手船に気付かないまま衝突しています。
いかがでしたか?ほかの船舶が異常に近づいてくるのに気づいたら、それは船長も気づいていない船かもしれません。そんな船を発見したら、ためらわず船長に声をかけるようにしたいですね。
<TSURINEWS編集部>