人生最高フィッシング:北本茂照 ライトタックル(LT)の歴史を振り返る

人生最高フィッシング:北本茂照 ライトタックル(LT)の歴史を振り返る

北本茂照さんの「人生最高フィッシング」。思い出深い釣りを振り返ってもらいながら、それを通して学んだことや魅力について語ってもらった。

(アイキャッチ画像提供:北本茂照)

TSURINEWS編集部

その他 インタビュー

茨城・日立久慈沖のムラソイ

印象に残っている釣りを教えてください

北本茂照さん

2003年頃にやった、茨城日立久慈出船のライトタックル(以下、LT)を使ったムラソイ釣りだね。

 

当時の状況を教えてください

北本茂照さん

ダイワのSFA(スーパーフレッシュアングラー)になりたてだった。師匠と慕っていた人と「ベイジギングロッドを使ったエサ釣りができないだろうか」と話をしていて、それが今では当たり前になっている「船釣りのLT」を広めるきっかけになったと自負しているよ。

 

超浅場で大型魚が出る

なぜ茨城のムラソイ釣りだったのですか?

北本茂照さん

当時の日立沖は、水深2.5~7mの超浅場で2kg級が釣れていた。ほかにも3kg級のヒラマサやヒラメ、カサゴといろいろな魚が上がっていたので、LTの可能性を試すのには最適だったんだ。

 

ライトではない当時の主流タックルはどんなものでしたか?

北本茂照さん

浅場なのでオモリはかわらないけど、竿は2.7mくらいの東北ヒラメ竿やコマセマダイ用、硬めのキス竿などが主流だったね。

 

LTへの周囲の反応

LTへの反応はどうでしたか?

北本茂照さん

船長や周りの人は「こんなに細い竿で本当に大丈夫?」って感じだった。「オマツリしたり、根掛かりしたら折れてしまうのでは?」と言われたけど、実際に自分が釣りをして大丈夫なことを示すと、すぐ理解してくれたよ。結果から言うと2kg級でも、安心してやり取りできた。

 

そのほか気になった点は?

北本茂照さん

「しっかりアワせたら折れてしまうのではないか?」とか「食い込ませるにはある程度、長い方が良いのでは?」とか言われたけど、何ら問題なかったね。

 

LTでのメリット

「良い」という反響で多かったものは?

北本茂照さん

意外と多かったのは「根掛かりが減った」とか「根掛かりしても回収できるようになった」という声。感度を上げようと竿を硬くしていけば、根掛かりしたとき、ハリがガッチリ掛かってしまう。そういった意味で最適な調子だったということかな。

 

釣り人の反響は?

北本茂照さん

テレビ番組で日立沖のムラソイ釣りの撮影をすることになったんだ。船長に聞いた話だと、放送後には問い合わせの電話が鳴りっぱなしだったとか。それだけ、釣り人がLTに興味があったということだね。

 

人生最高フィッシング:北本茂照 ライトタックル(LT)の歴史を振り返る釣り上げたムラソイ(提供:北本茂照)

LTの広がり

当時LTの竿とは?

北本茂照さん

「リーディングXA64 190タイプ3」というワンピースロッド。タイプ1、2もあったけど、3の方がこの釣りには合っていたよ。

 

その後はLTでどんな釣りを?

北本茂照さん

軟らかいタイプの1と2は、コマセマダイやアジに合っていた。ヒラメや青物など、とにかくいろいろな釣りで試していくうちに「これはいいぞ」と確信したよ。

 

人生最高フィッシング:北本茂照 ライトタックル(LT)の歴史を振り返るLTは青物にも対応(提供:北本茂照)

どのくらいテスト釣行したのですか?

北本茂照さん

正直なところ高級外車を買えるくらいの授業料は払っていると思うよ(笑)。

 

その間にタックルは進化していきましたか?

北本茂照さん

最初のテレビ撮影から4年後、また同沖のムラソイ釣りを撮影したけど、その時にはリーディングXの2代目ができていた。それだけ認知されてきたし、いろいろな釣りに対応できるようにメーカーも竿を進化させていたよ。

 

「浅いからライト」 ではない

LTの今後の展開は?

北本茂照さん

誤解されやすいんだけど「浅いからライト」という訳ではけっしてなくて、水深200m前後の中深場、300m以上の中深海から深場まで広がっていくと思う。

 

なぜ深場へ広がるのでしょうか?

北本茂照さん

深場の釣りって「大型電動リールに、がっしりしたワンピースロッドで置き竿」というのが普通だけど、やっぱりいきなりやるのには、予算を含めてハードルが高いよね。見た目も「いきなりこれは難しそうだ」という感じ。その点、LTであれば、もう少し「気軽に始めよう」って思ってくれるんじゃないかな。

 

手持ちできるLTのメリット

LTを深場で使うメリットは?

北本茂照さん

普通の深場の釣りは置き竿で、竿先に出るようなわずかなアタリを取らなければいけないけど、リールやタックルが軽くなって手持ちでできるようになれば、アタリを目だけではなくて手に感じることができるよね。

 

感度以外のメリットはありますか?

北本茂照さん

例えばアカムツでは、エサだけくわえて引っ張っていくようなアタリがある。こういうときに手持ちならすぐに竿先を下げて糸を送り出すことができる。「置き竿ではなかなかできないこと」ができるようになるのが一番のメリットだね。

 

深場の釣りが面白くなる

今後の釣りに期待したいことは?

北本茂照さん

深場の釣りがどんどん面白くなっていくと思う。今までやる人が限られていたけど、LTなら女性や子どもだって「やってみよう」と思ってもらえる。魚から得られる情報が増えるから面白いと感じるはず。気軽にいろいろな釣りを楽しんでくれれば嬉しいね。

 

人生最高フィッシング:北本茂照 ライトタックル(LT)の歴史を振り返る同じ対象魚でも新しい世界が広がる?(提供:北本茂照)
北本茂照さん

普通のタックルでは感じることができなかったことが把握できたり、不可能だったことが可能になったりして、新しい釣りの世界観が生まれてくると思うよ。 

 

北本茂照さんプロフィール

人生最高フィッシング:北本茂照 ライトタックル(LT)の歴史を振り返るムラソイを仕留めた北本さん(提供:北本茂照)

北本茂照(きたもと・しげみつ)……1967年生まれ。茨城県在住。ダイワフィールドテスター。沖釣りを中心に大物、小物、魚種などに縛られることなくマルチに釣行する実力派。雑誌、テレビ番組などの出演多数。

この記事は『週刊つりニュース関東版』2020年6月19日号に掲載された記事を再編集したものになります。

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