9月30日のシーズン最終釣行は長野県塩尻市の奈良井川とし、リアライズ6.1gのボトム攻めでニジマスが早々に出る。だがその後は続かず、案内してくれた静岡市在住の友人にヤマメ、イワナ、ニジマスと25cm前後が3匹ヒットして終了となった。
胸躍る前夜祭!
翌10月1日は信濃川水系の犀川C&R区間だ。
安曇野インターを下車し、国道19号沿いのコンビニで犀川殖産漁協の日釣り券を買う。
そして生坂村から大町市に入ってすぐの、川の駅さざなみで湯船に浸かった。
ガラス窓越に見えるポイントは、カヌーやラフティングの出発点でもあり、太い流れに期待と不安を感じて道の駅大岡特産センターに向かった。
ちなみに道の駅付近はすでに長野市。
駐車場の隅でランタンに火を灯しコンロの準備をしていると、静岡県東部は伊豆の国市在住の友人が合流してきて、前夜祭が始まった。
焼き肉、ギョウザ、ピザなどをつまみながら酒が入って、翌日の釣りに対するそれぞれの持論が展開する。
が、「こうでなきゃ」っていうゴリ押し的な討論ではなく、互いの見立て方や釣り方を吸収し合う実に有意義な時間だった。
ファーストヒットを求めて……
翌朝午前6時前、リアハッチから顔を出すと友人たちはそれぞれ朝食中であり、私も湯を沸かしてカップスープにコーヒーと軽めの食事を済ませる。
そして、2人から少し遅れて釣り場へと降りていった。
道の駅裏のポイントで意識するのは対岸の深場と、手前側のブレイク。
友人たちもミノーやスプーンを駆使するがこれといった反応はなく、数10分後には耐え切れずに下流の日が差したエリアに集まってきた。
しかしこれが正解で、深瀬が流れだすカタの部分で私のキャストした『i Fish FT 7S(銀アユ)/フォレスト』に初チェイス。
それは流れが弱まった手前側で戻ってしまったが、初の魚影に上流側にいた友人を呼んで再び魚影を探す。
元いた場所へのキャストに反応がないためクロス気味にキャストしてギラつかせていると、スイッチの入った30cm弱の銀色がミノーを食った。
だがこれは一瞬にしてバラシ。
悔やむキャストが続くなか、上流側の友人が25cmのブラウントラウトを手前側ブレイクでヒットさせる。
この日の初釣果を皆で喜んだところで、ポイントを下流方面に移した。
試行錯誤の釣り
次なるポイントを決めるにあたっては、この川を知る友人2人が協議し、私はただそれに従った。
移動したのは2本下流の橋辺りだろう。
ゆったりと曲がる流れは左岸のテトラにぶつかり橋の直下で深場を形成している。
一方の友人と私は側道を上流に歩いて雑草茂るスロープを強引に下り、私は瀬に対してダウンクロスで『i Fish FT 7S/フォレスト』をキャストした。
道の駅裏のヒットシーンを思い描きながら。
しかし釣り下りに反応はなく、橋上流のタルミでもう1人の友人に合流する。
「どう?」と声をかけると、「反応なし」といった返事。
その後『Realize(厚板8g)/フォレスト』の流し込みにも生命感はなく、これが最後と諦めの意味でスナップにセットしたのが7cmのバイブレーションだった。
ランガンからの大チャンス、ビッグトラウト出る
そして少し上流に移動し、ダウンクロス気味に撃ち直していく。
着水は左岸テトラの際で、着底を認識してから小さなジャークでアピールを試みる。
すると流芯手前側で少しやわらかな「何か」にフックが刺さり、ひと呼吸おいて動きだした。
すぐさま口から出たのは「食ったよ」の大声。
しかしカメラ片手に追う友人の目の前で、岸際まで導きながら痛恨のバラシである。
流れに消えた魚は明らかに50cmはあるニジマスだった。
ブラウンを期待した私が、一瞬でもニジマスという結果に不満を抱いたからだろう。
そうしたゼイタクな釣り人には、神様は容赦しないのだ。
そのことを大いに反省し、同じ攻めでゆっくりと釣り下る。
だが脱力感が残るなかで、再び似たような反応を得た。
それもひと呼吸おき、下流へと猛ダッシュ。
「ヤバイものが掛かった」。
そんな引きだった。
ところがドラグを出しつつ耐えていると、やがて動きは止まり浮いてくるのが分かった。
そうなれば、ひたすら巻きである。
友人2人に囲まれたやり取りは、ついさっきのバラシもあって超緊張である。
だが魚影がブラウンと分かると、何となく獲れるイメージが固まって、その後数回ラインを出されても慌てることなく、最後はゆっくりとネットインさせることができた。
サイズはジャスト60cm。
大きさもさることながら、驚いたのはヒレの美しさと重量感。
憧れの1匹が、今目の前にいる。
そうしたビッグな引きを、2度も味わえた犀川殖産C&R区間。
誘ってくれた友人、一部始終をカメラに収めてくれた友人には感謝しかない。
<週刊つりニュース中部版 APC・永田幹夫/TSURINEWS編>