人気急上昇中のタルイカゲームが開幕目前だ。9月27日、ルアーメーカー「バスデイ」のスタッフとともに、今期第一陣のタルイカを補足するべく、福井県敦賀市色ケ浜の泰丸Ⅲアクションズ に乗船した。
(アイキャッチ画像撮影:週刊つりニュース中部版 編集部・五井貴矢)
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タルイカ専用ルアー『タルスピード』
午後4時、泰丸の乗船場でバスデイスタッフらと合流。当日は同社から発売されたタルイカ専用ルアー『タルスピード』による実釣を行う予定だ。
船上にて、2019年10月発売の『タルスピード』と初めて対面。本製品は、タルイカのベイトとなるマイカやスルメイカを意識したリアルなシルエットで、実績カラーに的を絞った3色のラインナップだ。
見た目だけでなく、小さな穴から海水を取り込み、中空ボディの浮力を抑え、ボディにかかる水圧を逃がすといった先端技術も兼ね備えているルアーだ。
泰丸Ⅲアクションズでタルイカゲーム
午後5時に出船、船は敦賀半島沖のポイントに到着。
日が沈み、集魚灯が点灯されると、さっそく大型のスルメイカがタルスピードにガンガンアタックしてきた。ベイトの寄りに不足はない。あとは捕食者が現れるのを待つだけだ。
1.『沈下速度』が重要
タルイカの接近を待つ間に、開発者の大林さんにタルスピードの特徴を聞いた。まず、第一のコンセプトは、その名の通り、狙いダナへのイチ早い到達を目指したこと。
タルスピードは、重心を中央より少し後ろに設定してある。このため、フォール時は、カンナを下にした斜め姿勢で水を切るように落ちていくため、沈む速度が速く、効率良くタナを探れる。
タルイカは、水深100m前後から、ときに水面近くまでと探るべきタナが広く、おまけに神出鬼没。タナのサーチはとにかくスピーディーにこなしていくことが、キャッチへの第一歩となる。また、自分と異なるタナで誰かがヒットさせた状況では、すぐにそのタナへルアーを到達させたいのがアングラーの心情。
タルイカはペアか、小さなグループで行動していることが多く、誰かがヒットさせれば、必ずもう1匹が近くにいる。「誰よりも早く、もう1匹にアプローチすること」これが本製品が沈下速度を重視した最大の理由だ。
なお、タルスピードを沈めるときに意識したいのがサミング。適度なテンションを掛けることで、姿勢が鋭角で安定し、よりスムーズに沈めることができる。
2.『スライドアクション』が重要
続いては、誘いの過程で活かせる、タルスピードの特性の話。タルイカゲームはワンピッチやハーフピッチのジャーク、そして、ロッドを大きく立てたあとのフォールが誘いの基本となる。
ジャークとジャークの合間や、フォールの誘いの際に、ラインスラックを入れると、タルスピードは斜め下方にスライドする。この動きは、青物を対象にしたジグなどでよく採用されており、フィッシュイーターの攻撃本能を刺激するアクションだ。
以下、タルスピードの動きを活かした、誘いのパターンごとのテクニックを解説する。
ワンピッチまたはハーフピッチジャーク
ジャークとジャークの間に、一瞬ラインテンションを抜く。このときラインスラックが生じ、このスラックの長さで、タルスピードがスライドする幅が変わる。
大きな幅のジャークで、長くスラックを生じさせれば、スライド幅も長くなり、小幅にジャークすれば、スライド幅は短くなる。長・中・短のスライドの動きを使い分け、当日のヒットパターンを探ろう。
ロングフォール
ワンピッチ等で誘い上げたあと、ロッドを大きく起こし、頂点に達したら、ロッドを下げてフォールさせる。
フォール中、タルスピードは長い距離をスライドしながら斜めに沈下する。フォールに対する反応が良い場合に効果的な誘い方だ。
3.『カラーによる視認性』が重要
そして、カラーについては以下の通り。3つのカラーのうち、まず、「オールグローラメ」は視認性が最も高く、広範囲にいる個体や、高活性な個体にアピールするのに有効。最初に投入したいトップバッターだ。
次に「ピンクチャート」。目立つ色彩だが、あえて夜光塗料を使用していない。「明るい色彩で視認性を確保しつつ、目立ち過ぎない」というバランスを取った設定だ。
ちなみに、タルイカは状況によって発光するカラー(夜光)を嫌う場合がある。このようなときにも投入したい一品。
最後は、冒頭でも触れた「マイカグロー」。見た目通り、透明感のあるマイカの体色を模しており、まるで刺身で食べられそうな質感だ。このカラーには、名前の通りグロー(夜光)の塗装が施されている。リアルだが、視認性もしっかり確保しているところが実に魅力的だ。
以上が各カラーのコンセプトと使い分けだが、開発者の大林さんは、昨年足しげくタルイカゲームに通い、データを集積。
その結果、視認性が重要なファクターであることをよく実感したという。そこで導き出したのが、一定水準以上の視認性を持たせた、これらのカラーなのだ。ちなみに、グローカラーの特性を活かした使用法がある。
それは、グローが施されたモデルを常に2つ用意し、片方を使用しているときは、もう一方を集魚灯の光にあて、蓄光させておき、一定時間ごとにローテーションする。グロー塗料は光を放出してしまうと、発光が弱まるが、こうすることで、常に強く発光するルアーでタルイカにアピールすることができるのだ。
悪天候の中奮闘するも
さて、ここまでテクニックとタルスピードの活用法の話が続いたが、当日の実釣に話を戻す。
午後9時ごろまで、スルメイカの連釣が続き、夜も深まって「いよいよこれから」と意気込んだが、ここで突然の大雨。大きな雨粒でロッドティップが叩かれ、図体はデカイが当たりは繊細なタルイカを釣るには、厳しすぎる状況だ。
半数以上の同船者が船内やトモのひさしの下に避難するなか、バスデイメンバーは、最後までタルイカに挑み続けた。だが、悔しいことに、ついに本命は姿を見せてくれなかった。
だが、案ずるなかれ、少しずつではあるが、福井県沖で操業している遊漁船や職漁船では、タルイカがキャッチされている。本体の到着は近い。ひと荒れごとに、秋の海に変わる日本海。10月最初の台風が通り過ぎたそのとき、ドラマは突然始まるかもしれない。
▼問い合わせ株式会社バスデイジャパン=電話0533(85)3600。
http://www.bassday.co.jp/news/#a191
<週刊つりニュース中部版 編集部・五井貴矢 /TSURINEWS編>