伊藤さとしのプライムフィッシング。その日その釣り場で最良の釣りを目指す。1カ月をメドに釣り方、エサ紹介などを伊藤の実釣を交えて解説する第22回。今月のテーマは「グルテンセットの宙釣り。」釣り堀や管理池では使用頻度の低いエサ使いだが準山上湖系などではメインの釣り方と言ってもいい。今回はこの釣りのシステムがどういうものかを考えてみよう。あわせて食わせのグルテンについても。
準山上湖系の大切な要素とは?
この時期のグルテンセットの宙釣りが、おもに山上湖・準山上湖での釣りだと仮定して話を進めるとして、大切な要素は何でしょうか。エサですかそれともセッティング?
「どちらも大切だし、要はトータルバランスが大事だってことは釣り方を問わず言えることだよね。でもあまりに漠然とし過ぎてしまうから、こういう入り方をしてみようか。」
入り方ですか?
「そうだなぁ…。ウドンセットと何が違うのか考えたことある?」
食わせがそもそも違いますよね。あと野釣りでウドンセットはあまりやらない。ハリス長なんかも異なるのでは?
「そう。食わせがそもそも違うよね。ウドンは固形物で、グルテンはいずれ溶けてハリから抜けてしまうもの。でも上バリのエサで魚を寄せて、下バリのエサを食わせることには変わりない。」
何だか意味深ですね。
なぜヘラはウドンを食うのか?
「ではこれならどう。なぜヘラはウドン(固形物)を食うの?」
それは分かります。基本的には誤飲ですよね。バラケを吸いあおっているうちに食わせも一緒に飲み込んでしまう。
「そうだね。ではグルテンは?」
セット釣りですからグルテンも同じなのでは?
「そこがそもそもの間違いだよ。だったら両グルテンが成立しないって話になっちゃうよ。」
あっ、確かにそうだ。
「つまり魚はグルテンを食いに来ているわけだよね。イコール誤飲ではない。まれに誤飲もあるかもしれないけど、釣りのシステムがそうじゃないということ。」
理屈はそうですが、見た目には変わらないですよね。上がバラケで下が食わせ。バラケで魚を寄せて下バリを食わせることに変わりないと思うのですが?
③誤飲ではなくグルテンを食わせる
「確かにそう。でも魚はグルテンを食いに来るのだから、それをジャマしてはいけないよね。」
ジャマとは?
「たとえばグルテンの周囲に、漂ったバラケ粒子が大量にあったらどうなるかな?」
食べやすいほうを先に食べますよね。つまりバラケ粒子を食べる?
「そうなるよね。つまりグルテンは後回しにされてしまう。後回しになってもグルテンを食ってくれるならOK。でも後回しにされたまま魚にそっぽを向かれたら?」
アタリにならない?
「そういうことになるよね。誤飲ではなくグルテンを食いに来る。だからアタリになる。この釣りの根源はそこにあるのだから、おのずとバラケに求められる役割分担が決まってくるでしょ。」
魚を寄せる役目は当然として、グルテン(下バリ)に誘導する役目でしょうか?
「そういうこと。しかも誤飲じゃなく食いに来た魚を確実に食わせる。そのためのバラケ、ハリスセッティング、ハリの大きさ太さ、ウキの浮力などが重要になるよね。なかでもハリスセッティングとハリの種類(号数)はとても大切な要素だから、これについては次号で詳細に考えてみよう。」
ところでグルテンはどんな銘柄を使えばいいのでしょうか?
④グルテンは水量に注意!
「銘柄というよりは質だよね。食わせなのだから、ハリに付いていることがイチバン大切だってことは理解できるよね。」
はい。寄せる役目はバラケですからね。となると繊維が強くエサ持ちがいいタイプが理想だと?
「繊維もそうだし水を含んでからの膨らみ方なども大切な要素になるよね。何せグルテンを食わせるのだからね。大きく膨らんだほうがいいのかそれとも小さいままがいいのか。ガムのように繊維がハリに残るほうがいいのか、それとも切れてしまうほうがいいのか。それにエサの比重も重要だよね。これらを総合的に判断して、ボクならアルファ21の単品を使うことが多いかな。」
理想的だと?
「アルファ21って自由度が広いエサなんだよね。手水で軟らかくして練ることも可能だし、硬く作って仁丹のように小さく付けてもいい。何よりエサ持ちがいいからセット釣りの食わせとしては理想的なんだよね。」
水との比率は?
「粉1に対して水1~1・5の間で調整すればいいんじゃないかな。ただ硬く作っておけば、あとで軟らかくすることは可能だけど、その逆は無理だからそのへんだけが要注意かな。」
次回も「グルテンセットの宙釣り」です。
<週刊へらニュース 伊藤さとし/TSURINEWS編>
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