今月のテーマは「戸張誠の釣り談義」――。間もなく当企画300回目に達するのを機に戸張は当コーナーから引退する。そこで最終章はハウツーなど語らず、ヘラブナ釣りについて戸張に好きなだけ自由に語ってもらうことにした。今回も前号に引き続き大型釣りに関して。記者がぜひ戸張に聞いてみたかったこと。一つ目はなぜハリが小さいのか。二点目はマッシュエサなのに、なぜ麸系ダンゴを大量に配合するのか?こには戸張らしいファイナルアンサーがあった。
戸張流針のメソッド
通常、ダム湖の大型釣りだと大バリを使うのが通例だ。サイトなら15~18号。なかには特注した22~24号を使う人も記者は知っている。
ところが戸張はリグルまたはセッサ10号。時には8号まで落とすこともある。正直、大型釣りには不向きなのではと思えてしまうのだが。たとえばハリが小さいとジャミがハリ掛かりしやすくなる。さらにはマッシュ系エサを持たせるのが難しい。
そしてそもそもハリに付いているエサのサイズが小さいから釣れるサイズも小さくなってしまうのでは?
「ハリが大きいと逆に釣れる気がしないんですよ。ゆえにモチベーションも上がらない。」
なぜ釣れないと思うのでしょうか?
「何でかなぁ。使わないから慣れてない。慣れない釣りをしても釣れない。それに楽しくないからでしょうね。」
ウキに関して
そう言えばウキも一般的な物ですよね?
「はい。そもそも大バリに対応できるウキを持ってません。」
ウキが未対応だとハリも通常サイズを使うしかない。ですが大バリ対応のウキを手に入れようと思えばできないことはないはずです。
なのにそれはしない?
「ウキに関してはモニター契約しているので、ブランド以外のウキを使えない大人の事情もあります。ただそれが理由じゃなく、やはり普通のウキのほうが慣れている。だから大バリ対応のウキは必要ないと自分では思っているんでしょうね。」
リグル10号なら普通のウキでいけると?
「はい。ただ水深が深い(竿が長い)と、もう少し大きければと思うことがありますが、エサでどうにか対応できますから。」
ジャミ掛かりしても良い?
ジャミがハリ掛かりして面倒になりませんか。見てるとやはり大バリの人に比べてブルーギルがハリ掛かりしているシーンが目立ちますよね?
「気にしてません。むしろアタった魚の正体が分かってよかったと思っているくらいです。」
なるほど、魚の正体ですか?
「たとえば大バリにブルーギルがアタると空ツンになることが多いのですが、釣れてこなければ何がアタったのか正直分かりませんよね。もしかしたらヘラかもって。そこでもエサを軟らかくしたらどうなりますか?」
よけいにジャミが食いやすくなり空ツンの連続になる?
「はい。または散々空振ったあげくにジャミが釣れてくるかもしれませんよね。
つまり間違った対応に進んでしまうことが多い。ですが釣れてくれば正体が判明するのですから的確な対応ができます。」
ですが小バリだと、たとえ本命が釣れてもサイズが小さめになるのでは?
「それは何とも言えませんね。この仕掛けで50cmオーバーを釣ったこともありますから。小バリだと大型が釣れないと言うのは、小バリを使ったことがない人の理論ではないでしょうか。」
エサのこだわり
なるほど。ではエサはどうでしょうか。
戸張さんが使うマッシュエサには麸系ダンゴが半分もしくはそれ以上配合されてます。
なぜですか?
「それは違います。むしろダンゴエサでいいと思っているくらいです。
ですが亀山湖と片倉ダムに関しては、マッシュ特有のバラケ性が必要不可欠なんです。チリチリと細かく下方向に糸を引くようなバラケ方。あれを麸系エサだけで演出するのはちょっと難しいのです。」
つまりベースは両ダンゴで、そこに必要だからマッシュエサを入れている。マッシュベースとは根本的な考え方が異なるわけですね?
「はい。釣れるなら両ダンゴでもいいと思っていますし、現に昔の亀山湖では両ダンゴでも釣れたと聞いています。」
両ダンゴ好きの戸張らしい回答だ。そこで次号では両ダンゴへのこだわりを尋ねてみよう。
次回も「戸張誠の釣り談議」です。
<週刊へらつりニュース 戸張誠/TSURINEWS編>
ボートハウス松下