初夏を思わせる日差しに、パールピンクの女王を想像した人も少なくないはずだ。そう、今回は晩春から初夏にかけての船&ボートのキス釣りだ。盛夏のイメージが強い魚だが、実は最も好釣果が出るのは、シーズン初期のこの時期なのだ。
釣り方
【乗合船の場合】
乗合船の場合は、船長がポイントに連れていってくれるので、ボートのようにポイントを探す必要はない。
風や潮に立てて流すことが多いが、潮が緩く風が弱いときはスパンカーを上げずにそのまま流すこともある。
したがって船は緩やかにポイントを流れていくため、ボートと違って遠くに仕掛けを飛ばす必要はない。
かといってサオ下ばかりでは芸がないので、軽くアンダーハンドキャストで仕掛けを飛ばし、ゆっくりサビいて手前に寄せてくる。
【ボートの場合】
またボートの場合は、状況によってはアンカーを入れてボートを固定することがある。
そんなときは広範囲を探るため、キャストしてじっくりサビいてくる。
キャストするとき、オモリが着水したらすぐにリールのベールを返し、2秒ほどテンションを張ったままカーブフォールさせる。
これはそのままオモリを落下させると、仕掛けがテンビンやミチイトと絡んでしまうためだ。
ボートだけでなく、陸っぱりのチョイ投げでも同じなので覚えておいて損はない。
少しテンションをかけたまま落とし、仕掛けがミチイトやテンビンから離れた位置で一直線になったら、その後は糸をフリーにして底まで落としていく。
着底したらすぐにリールを2~3回巻き、海底でミチイト、テンビン、仕掛けの順番になるようにする。
これを怠ると意外なほど手前マツリが多くなってしまうので、要注意だ。
最初はボートを流しながら釣り、まとまって釣れるポイントを見つけたらアンカーを打って集中的に攻めるのもありだ。
ボートは自分でポイントを見つけるのも楽しみの1つ。
ハニースポットを見つけたときの喜びはひとしおだ。
【アタリについて】
アタリはド派手に穂先を揺らし、手元にはっきり伝わるぐらい明確に出る。
よほどイトを緩めていない限り、見逃すことはない。
だが、ここで慌ててアワせるのは禁物。
アタリには穂先でついていくぐらいの気持ちで、十分待ってからアワせよう。
ハリをのみ込ませるぐらいでちょうどいいぐらいだ。
大型ほど警戒心が強いことは前述したが、最初のアタリでアワせても空振りすることが多い。
以前投げ釣り師に聞いた話だが、九州で浅場の尺ギスを狙うとき、リールのドラグをユルユルにして、さらにミチイトをあえてダラリと緩めておく。
使う仕掛けは全遊動式で、キスがエサをくわえたときの一切の違和感をなくし、食い込ませるためだそうだ。
ボートや船ではそこまでする必要はないと思うが、それぐらいの意識を持って十分食い込ませるように心がけよう。
危険なゲスト
この釣りでは季節が進むにつれ、たくさんのゲストが顔を出すようになる。
うれしいゲストとしては、メゴチやベラ、トラギスなど。
メゴチはヌルヌルで嫌う人も多いが、実は非常においしい魚。
天ぷらはキスよりおいしいと言う人も多いぐらいだ。
トラギスはキスと名がつくものの、実はハゼの仲間。
淡泊な白身で揚げ物にすれば絶品だ。
逆に嫌われるゲストも多い。
特に触ると危ない魚もいるので注意したい。
代表的なものはハオコゼ。
見た目はカサゴに似ているが、カサゴよりも小型で背ビレに毒があり刺されたらしばらくは釣りにならないほど痛む。
ゴンズイは主に夜釣りで釣れるため日中はあまり釣れないが、濁りがあるときなどにたまに掛かってくる。
胸ビレに毒があるゴンズイ。こちらも決して素手で触らないように。
これは刺されたらシャレにならないほどはれ上がり、下手をすると病院行きになることも。
釣った魚はすぐに触らず、よく確認してからハリを外すようにしよう。
見たことがない魚、毒魚だと分かった場合は、メゴチバサミなどを使って慎重にハリを外すこと。
場合によってはハリスを切って逃がすこともやむを得ない。
最後に
キスは夏を代表する魚だが、最も良型を釣りやすいのは晩春から初夏にかけて。
水温が上がりかける時期なので、釣行のタイミングを間違えるとアタリすらないなんてこともあるが、ハマればでっかいキスの入れ食いを楽しめる。
20cmを超えるキスはぜひ刺し身で食してほしい。
数釣りができたら昆布締めもオススメだ。
中型までは定番の天ぷらや塩焼き、唐揚げもいいだろう。
まとまった数が望めるのが船&ボートのキス。
ぜひダイナミックな釣趣と夏のさわやかな食味を味わっていただきたい。
<週刊つりニュース中部版 編集部/TSURINEWS編>