立春を過ぎたとはいえ、まだまだ寒い日が続く。そこで、海のなかの春の息吹を先取りしようと、2月6日(水)、茨城日立会瀬漁港の弁天丸を訪れ、春の使者といわれるオキメバルを狙った。
当日の状況
同じ思いを持って集まったファンと船に乗り込む。私は左舷ミヨシに座り、タックルの準備に取り掛かる。
6時、阿部正美船長の操船で、まだ暗い岸壁を離れ、真沖の釣り場を目指す。天候はどんよりとした曇り空。幸いにも風はなく海上は穏やかだ。振り返ると、丘陵のふもとに連なる日立の街並みの明かりがチカチカと美しい。
昼前から雨が降りだす予報なので、前半が勝負になりそうだ。
エサはサバの短冊
航程30分でスローダウン。「はい、この辺りから探っていきます。準備してください」とのアナウンスがあり、潮回りに入る。この間に、船支給のサバの短冊を1片ずつ取り出し、皮側の端中央にハリを打ち、チョン掛け。船べりに並べてスタンバイ。
やがて、反応をとらえると軽く制動がかかり、「はい、いいですよ。水深は50mです」の合図で投入。オモリが着底したら素早くイトフケをとり、50cm~1mほど底を切ってアタリを待つ。
イキナリ5点掛け!
ふと、トモへ目を転じると、早くも見事な放物線を描く長竿を抱え巻き上げに入った。竿先がグッグインとかなりの振れ幅で引き込まれているので、多点掛けが期待できる。
辺りがまだ薄暗いなか、かけつけると、30cm前後のオキメバルがゾロゾロと5点掛け。
釣り座に戻ると、竿が胴までズッポリと海中に突き刺さり、なおもブルンブルンと激しく振動を繰り返している。
そのままスイッチオン。中速より2段階落としたスピードで巻き上げにかかる。それでも時折スプールが停止するので、こちらも多点掛けをしたようだ。
ようやく薄明るくなってきた海中をのぞくと、オレンジ色の魚影が連なっている。上バリから30cm超えが4尾掛かっていたが、下バリ2本のハリスが切られていた。たぶん良型のオールヒットだったのだろう。
移動の度に連発!
魚を外し、新しいハリスを結んで投入すると、まだ反応が残っており、すぐにグッグッと竿先がたたかれた。さらに1m巻き上げ、置き竿にして多点掛けを狙ったが、それ以上、竿は曲がらず巻き上げ。今度は同サイズのダブル。
さすがに3投目は間に合わず、ポイントが外れたようで、すぐに移動が告げられた。すっかり明けたが、雲はますます厚さを増し、いつ雨が降り出してもおかしくない状態だ。ここまでほどよく流れていた潮が次第に速さを増してきた。
船長はまめに移動を繰り返し、次々と新たなポイントを探るので、そのたびに小気味いいアタリが続く。しかし、1投目のみでポイントが外れてしまう。それでもダブル、トリプルで掛かってくるので、オケにはびっしりとメバルが溜まった。
船中良型連発
トモに座る中束さんは、良型の一荷。「船長から『アタッたらすぐに巻き上げず、多点掛けを狙うように』と言われるが、竿先が派手に弾むのでつい待ちきれずに巻き上げてしまうよ」とコメント。
隣席の三浦さんも同様だが、「このサイズなら10尾もあれば、土産は十分」と、笑顔。
胴の間で竿を振る、中野さんにもアタリが到来。こちらもナイスサイズの一荷を取り込み、「投入のたびに小気味いいアタリがあり、まったく退屈しない」と話す。
ミヨシに目をやると、貝戸さんが大きくしなった竿を抱え、懸命に巻き上げている。横にいくと良型がトリプルで上がってきた。「竿先が心地よく弾むのでオキメバル釣りは楽しいね。もっとも好きな釣りのひとつ。」と、大満足の表情。