Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック【運に任せないキハダ攻略】 

Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック【運に任せないキハダ攻略】 

釣り人なら誰でも憧れるマグロ。今年は、大型のキハダマグロが仕留められています。しかしキハダを掛けることも、取りこむことも運が大きく左右します。しかし必ず毎釣行仕留めている釣り人も実在します。そこで今回、運任せではないキハダを掛けたら取る方法を伝授しましょう。

(アイキャッチ画像提供:WEBライター・近藤惣一郎)

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近藤 惣一郎

医学博士・京大卒。SOグレイスクリニック院長。脳外科・美容外科専門医。DAIWA沖釣りフィールドスタッフ。ロンリー侍ドクターとして各種メディアで活躍中。

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船釣り エサ釣り

基本を徹底することが重要

8月1日に開幕した相模湾キハダマグロ。8月中旬からコマセへの反応も良くなり、特に今年は概ねサイズが良く、9月中旬からは40kg、50kg級も仕留められています。とかく、相模湾のキハダマグロはヒットすることも、取り込むことも運が大きく左右すると考えられています。

しかし、今シーズンの釣果を観ると、同じ釣り人が釣行ごとに確実にキハダを仕留めている傾向があります。私自身もキハダがコマセに反応するようになった9月10日の釣行では3度ヒットし30kg前後の3本のキハダを仕留めることができました。

Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック【運に任せないキハダ攻略】 (提供:WEBライター・近藤惣一郎)

食い気のある魚の群れに出会えば、他の釣り同様、相模湾のコマセで狙うキハダマグロ釣りも、『基本』をしっかりこなすことで、運では無く、狙い通り大物を仕留められるのです。その『基本』と、ヒットした大物を逃さないための留意点をお話しさせていただきます。

確実な強度のタックルと仕掛け

例えばキハダの大きさが30kgとしてもヒットややりとりでの瞬間的な引き込み力は更に大きくなります。せっかくヒットしても針結びや道糸、天秤、ハリス、各接続部の強度に一カ所でも弱い部分があると、大きな魚はそこを必ず隙を突いて逃げてゆくのです。

例えばキハダが掛かり20号のハリスが切れた時「もっと太いハリスが必要だった」と単純に考えるのは間違いです。同じ力で魚が引き込んでも、ハリスに掛かる負荷はロッドの硬さやドラグ調整、道糸の太さ、クッションやリーダーの有無で変わってきます。

Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック【運に任せないキハダ攻略】 クッションリーダー(提供:WEBライター・近藤惣一郎)

キハダを確実に仕留めるなら数10~100m以上出る道糸の強度は重要です。私は12ブレイド12号に信頼をおき使用しています。同10号でもそれ自体十分な強度があるのですが、乗船中に他者とのオマツリで傷付くリスクも考えての選択です。ただこの12ブレイドは編み込み繊維の構造が特殊でPEラインの弱点である擦れや傷にも強い優れたラインです。

Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック【運に任せないキハダ攻略】 キハダタックル(提供:WEBライター・近藤惣一郎)

南方延縄結びと管付大針結び

更に前日までに道糸をチェックして少しでも傷があれば、そこから先の部分は惜しみなくカットしましよう。仕掛け作りは当日船上で行うのでは無く、乗船までにしっかり準備していなければなりません。針結びは自信を持てる結び方をベテランさんや船長に学んで一つでいいので確実に習得しましょう。私の針結びはタタキ針なら『南方延縄結び』。管付針は『管付大針結び』です。

Dr.近藤惣一郎のフィッシングクリニック【運に任せないキハダ攻略】 管付大針結び(提供:WEBライター・近藤惣一郎)

ショックリーダー

ハリスと天秤を接続するサルカン類もハワイアンフックなど強度が高いものを用い、ハリス端に内径0.8~1mmの強化チューブを被せ、漁師結びでサルカンに結んでいます。強化チューブを被せるだけで強度は格段と上がります。

また大物泳がせ釣りでも道糸の先にはショックリーダーを結びますが、コマセキハダ釣りでもショックリーダーは欠かせないと私は考えています。具体的には50号ナイロンリーダーを3mつけています。

リーダーと道糸の結束

相模湾のキハダ釣りは、初心者でもチャレンジできる釣りで、その中には道糸と天秤を直結びしている釣り人も見かけます。これだと運良く取り込めることはあっても、マグロがヒットしたときや、やりとりの際にタックルシステムに大きな衝撃が加わり、力を緩衝できずに針やサルカンなどいずれかの接続部で切られてしまう確率が高くなります。

リーダーと道糸の接続強度も針結び同様非常に重要です。この結びに不安があると、大物どころか、カツオでさえ、スッポ抜けて逃してしまいます。

摩擦系結びならルアーフィッシング定番のFGノットなど、針結び同様、どんなものでも良いので確実にできる結び方を一つマスターしましょう。最近は便利なリーダー結び器具やリーダーの端がはじめからループ処理されているものも市販されています。これなら道糸の先端にループを作り、ループtoループで安全確実な接続が初心者でもできます。

どうしてもリーダー結びに不安がある人は道糸と天秤の間に4mm径1mのクッションゴム(両端に強度が高いサルカン附属)を装着する方法もあります。

自分が結んだ針、作りあげたシステムで大物を釣りあげる経験が、より大きな自信になり、その後もコンスタントに大物を仕留めることにつながって行くのです。

つけエサの状態は常に良好に

どんなに高価なロッドやリールで釣っていても、魚は針に付いている付け餌のオキアミしか観ません。色が悪かったり形が崩れている付け餌ではヒットしません。大きなものが有利にはなりますが、多少小さくても抱き合わせや房掛けなどでアピール度は高められます。

コンスタントに魚を釣ってる人は付け餌の状態をベストに保つ努力をしています。オキアミは最適な解凍状態でもっとも容積が大きくなります。溶かしすぎや干からびたものは勿論、凍っているものも良くないです。上手く解凍しその後もクーラー内で冷所保存し、時合いにベストな状態で使用することに気を遣いましょう!

コマセワーク

今シーズンの傾向として、食い気のある良いナブラに出会せば経験のある同じ釣り人が確実に何度もヒットさせています。それは、正確なタナ取りと状況に適したコマセワークができているからです。船長の指示タナは必ず守ります。例えばハリス6mなら、船長の指示タナからハリス分の6mから半分の3mビシを余分に降ろし、コマセを振りながら指示タナで待ちます。

潮の速さや魚の活性に応じて降ろす深さやコマセの撒き方は調整します。私は潮が緩い時はハリスマイナス1~2m、速い時はハリス長半分位を落とす目安にしています。

コマセの振り出しは、他の釣り人の傾向も観察し、仕掛けを降ろしてすぐにヒットする時とじっくり待ってヒットしてくる時を見極めて、ビシ窓の調整やサオをしゃくる強さで変化を付けています。当日のアタリパターンを掴めれば、他のコマセ釣り同様、良いナブラに当たれば連続してヒットしてくるのが今年の傾向です。

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