『サカナの生臭さ』対策法3選 蛇口を触ると嫌なニオイが消せる?

『サカナの生臭さ』対策法3選 蛇口を触ると嫌なニオイが消せる?

魚料理の天敵「生臭さ」。部屋の中も臭うし、手も臭くなるし。そんな理由で敬遠している人もいるかも知れません。今回は生臭さの原因とその対策について解説していきます。実は、ちょっとした一工夫や身近なアレでニオイを消すことができちゃうかも?

(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS編集部)

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目次

魚臭さの原因

9月も終盤に差し掛かり、暦はしかり、肌でも秋を感じられる季節になってきました。秋といえば、サンマなど焼き魚が無性に食べたくなる人が多いはず。

しかし魚の料理は、その他の料理に比べ億劫になりがちです。その一番の原因がニオイ。あの独特な生臭さを誰しも一度は感じたことがあるかと思います。

魚を料理している最中や、食べたときの匂い、調理後には部屋にも手にも必ず生臭さが残ってしまいます。

しかしここで吉報、このニオイ実は意外と簡単に消すことが可能です

その前に、まずは匂いの成分についてみてみましょう。

匂いの根源は【トリメチルアミン】

ニオイの原因は、『トリメチルアミン』。魚の血肉や内臓にはもともとトリメチルアミンオキシドと呼ばれる旨味成分が含まれています。

しかしこの物質は時間の経過とともに分解されていく中で、ニオイの原因トリメチルアミンという物質に変化していきます。

このトリメチルアミンが多くなると、たんぱく質である身が分解されていき「身くずれ」「ドリップ」「変色」等 を起こし最後に細菌のエサになって「腐敗」つまり腐ってしまい、あの独特なニオイへと変化します。

トリメチルアミンの特性

このトリメチルアミンですが、主に3つの特性があります

・アルカリ性
・揮発性
・親水性

実は、これらの3つの性質を逆手に取ることで、生臭さを抑えることができると言えます。

匂いを感じなくさせる3つの方法

匂いの根本を断つ以外にも、匂いを感じなくしたり、匂いを感じにくくする方法が大きく分けて3つ存在します。

・ニオイそのものの除去
・ニオイの中和
・ニオイを隠す

今夜の夕食からぜひ参考にしてみてください。

1,ニオイを除去

先ずは、ニオイの除去から見ていきましょう。これは、調理する過程で生臭さを消し、より美味しくサカナを味わうための方法になります。

振り塩

塩は、除菌効果などは知られていますが、実はニオイも吸収してくれます。

塩を振って放置することで浸透圧の影響で身から水分が出てきます。その際に臭みも一緒に抜けていき、ニオイを抑える事ができるのです。

しかし、あまりに水分が抜けすぎると、同時に旨味も抜けてしまうため、塩の量や放置する時間をしっかり管理しましょう。

『サカナの生臭さ』対策法3選 蛇口を触ると嫌なニオイが消せる?塩を振る(出典:PhotoAC)

霜降り

『霜降り』とは、サカナや肉の臭みを料理に感じさせないようにするために、80度くらいの熱湯をかけたり、サッと湯引くことを指します。

お湯に通すと身の表面染み出た臭みを含んだ脂や血、ぬめりが固まります。すると、指でこする程度だけでかんたんにこれらの汚れを除去することが出来ます。

身に火が通り過ぎないように、サッとお湯をくぐれせたあとは、氷水や冷水で身をキュッと引き締めてあげましょう。

お酒につける

お酒にもニオイを取る効果があります。お酒を一回しかけたり、そのまま浸すことでアルコールが蒸発する際に臭みも一緒に消してくれます。

あまり生食する時にこの方法はあまり向いていないので、煮魚や焼き魚にして食べる時に適した方法と言えます。

また、食材を柔らかくしたり素材に旨味を与えたりする効果も期待できます。

2,匂いを中和

次に、ニオイを中和させる2つの方法を紹介します。

酢につける

酢を水で5倍くらい薄め、その中に浸すことで、アルカリ性であるトリメチルアミンを中和させることができます。

酢で締めて食べることのある「サバ」や「アジ」「イワシ」などの魚たちは生臭さを消すためにこのような処理をしていることが多いです。

昔は上記のような「青物」と呼ばれる魚は他の魚よりも腐敗が早いため、船の上で簡単に処置をすることができる酢締めにして保存していたようです。

一例として、きずしやしめ鯖などが挙げられます。

乳製品につける

切り身の魚をヨーグルトに漬け込んで、一晩置いてから焼き魚にすると、トリメチルアミンが減少したという実験結果も報告されています。

ヨーグルト以外だと、牛乳に約10~20分漬けこむだけでもニオイを中和させることができます。

これは酢と同様に、アルカリ性を中和して臭いを中和する方法です。

3,匂いを隠す

もっともお手軽な方法として、薬味と一緒に食べるという方法があります。

刺身で食べるときに日本人が愛してやまない「わさび」。

これは本来、腐敗の防止や臭い消しに用いられていました。

他にも「ショウガ」「大葉」など匂いの強い薬味と一緒に食べることにより、生臭さの原因である古い脂の匂いを隠して食べることができるようになります。

『サカナの生臭さ』対策法3選 蛇口を触ると嫌なニオイが消せる?WASABI(出典:PhotoAC)

手が臭いときは

魚を調理すると、必ず手が生臭くなります。水でどれだけ洗っても、石鹸をつけて洗ってもなかなか匂いが落ちませんよね。

これは上でも記載したように、トリメチルアミンの性質のせいで匂いが落ちないのです。

しかし、根本的な解決方法は魚の匂い取りと同じです。その性質を逆手にとって対処しましょう。

酢で手を洗う

酢と水を1:1で割った水を作り、ゴシゴシと洗うと手のぬめりと一緒に匂いが取れます。

しかし、濃度が高すぎると、反対に手がお酢臭くなってしまうので、濃度の調節には注意してください。

弱酸性の洗剤を使う

市販の食器用洗剤は中性の商品が多いため、いくら洗っても匂いが落ちにくいです。

商品の中には、弱酸性の洗剤があるため、商品ラベルを確認してから使用するといいでしょう。

ステンレスを触る

ステンレスにさわることで、鉄イオンが匂いの原因を引き剥がしてくれます。水道の蛇口やシンクなどステンレスをさわってみるのもいいでしょう。

しかしなんとなくそういうのは気持ち悪いなーと思う方は、最近では100円ショップでもステンレス石鹸が取り扱われているので、一つ購入してみるのもいいかもしれません。

このステンレス石鹸は魚の生臭さだけでなく、野菜やお肉の匂いも消してくれるようです。

『サカナの生臭さ』対策法3選 蛇口を触ると嫌なニオイが消せる?ステンレスで匂いを分解(出典:PhotoAC)

匂いが気になるあなたへ

魚料理において、生臭さは天敵であり、この匂いが苦手で魚が食べられない人も世の中にはたくさんいます。

しかし、それは新鮮ではない魚を食べていない証拠とも言えるかもしれません。

魚の生臭さを消すことで、「ちょっと苦手だなー」と思う方でも、もしかしたら魚を好きになrチャンスかも知れません。

ぜひ今回の方法を試してみてください。

<近藤 俊/TSURINEWS・サカナ研究所>