サカナの『赤身』と『白身』の違いを解説 タンパク質含有量で区別?

サカナの『赤身』と『白身』の違いを解説 タンパク質含有量で区別?

サカナは赤身魚と白身魚の2つに分類することができますが、その違いは何でしょうか。区別の仕方と、ちょっと意外なサカナを紹介します。

(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS編集部)

アバター画像 TSURINEWS編集部

その他 サカナ研究所

「赤身」と「白身」

皆さんはお刺身を食べる時に、どうして種類によって色が違うんだろう?と疑問に思ったことはありませんか?

実はサカナの身の色が違うのにはある理由があり、サカナの身は色で分類すると2つに分けることができます。

1つ目が赤身、もう1つが白身。

赤身で有名なのは皆さんも大好きな「マグロ」や「カツオ」など。見ただけで赤い身をしているのが分かります。

反対に白身魚として一般的なサカナは「タイ」や「カレイ」などでしょうか。

サカナの『赤身』と『白身』の違いを解説 タンパク質含有量で区別?美しい赤身(出典:PhotoAC)

運動性能の違い

では、身の色の違いによって、サカナの生態はどのように変わってくるのでしょうか。

この生態、特に運動性能については筋肉や血液中に含まれるタンパク質が深く関わってきます。

サカナの筋肉には、遅筋と速筋の2種類が存在します。

サカナの『赤身』と『白身』の違いを解説 タンパク質含有量で区別?透き通るような白身(出典:PhotoAC)

遅筋

マグロやカツオなど赤身魚は、広大な海水域を泳ぎ回っている魚が多く、常に速いスピードで泳いでいるので、長時間活発に動かせる筋肉が必要になります。

こういった長距離型の筋肉を【遅筋】と呼びます。

魚も運動を行うためには人間と同様に酸素を必要とします。そのため、酸素を効率よく運働きのある血液中の色素タンパク質「ヘモグロビン」や、酸素を貯蔵してくれるミオグロビンが大量に必要になります。

この二つのタンパク質には赤い色素が含まれているため、必然的に身も赤くなります。

速筋

マダイやヒラメなどの白身魚は赤身魚のように長距離の運動をしません。その代わりに、獲物を捕える時に瞬時的に動ける筋肉が必要になります。

このように瞬発的に魚ける筋肉のことを【速筋】と言います。

この筋肉を動かすのに燃料として酸素を使わないため、ミオグロビンはほとんどありません。血中に含まれる色素タンパク質の量が少ないため、身は白っぽくなります。

色素タンパク質含有量で区別

ちなみに水産学の観点では、「赤身魚」と「白身魚」は、筋肉や血液中に含まれる色素タンパク質の「ヘモグロビン」と「ミオグロビン」の含有量で分類します。

ヘモグロビンは、酸素を運搬する役割があり、ミオグロビンには、酸素を供給する役割があります。

「赤身魚」は、これらの色素タンパク質が100gあたり10mg以上の魚を指し、それ未満はすべて白身魚として扱われます。

赤身魚と白身魚のグレーゾーンに属するサカナが、みんなも大好き『ブリ』。ブリしゃぶなど、脂ののったブリは格別です。

このブリは、お寿司屋さんなどでは、白身魚として並んでいるところもありますが、水産学的観点からすると、赤身魚に分類されます。

同魚は、回遊魚としても知られている通り、ずっと泳いでいますが、マグロやカツオとの一番の違いは、瞬発的にも動く事ができるということ。

つまり、『遅筋』と『速筋』の2つを持つサカナと言えます。

青魚はどっち?

ちなみに、アジやサバ、サンマなどは青魚と呼ばれていますが、これは身の色を表現しているのではなく、見た目の話。真上から見ると、背中が青く見えることから青魚と呼ばれています。

青魚は前述の分類で言えば赤身の魚に分類されます。

見た目の色の話でいうと「キンメダイ」や「メバル」などは青魚に対して赤魚と呼ばれています。もちろん彼らは白身魚です。

サーモンは赤身魚ではない

一方で、サケ科のサカナもたびたび赤身魚と勘違いされます。回転寿司やスーパーでもよく見かける【サーモン】は、よく赤身のサカナと勘違いされています。

「え、こんなに赤い色しているのに?」

そう思う方もいるかも知れません。実は彼らは赤身魚ではなく実は白身魚に分類されます。

ではこの身の色を変化させている色素は何なのでしょうか。

サカナの『赤身』と『白身』の違いを解説 タンパク質含有量で区別?これで白身魚とは驚き(出典:Pixabay)

サーモンの身が赤くなる理由

白身のはずのサーモンの身になぜ色がつく理由が、食べているエサにあります。サーモンはオキアミやカニなどの甲殻類などを主食としています。

さらに、オキアミの主食は海中のヘマトコッカス藻類で、この藻の中に赤身の原因である「アスタキサンチン」という色素が含まれます。

産卵に向けてエネルギーを蓄える習性のあるサーモンは、オキアミをたくさん食べることでアスタキサンチンが体内にドンドン蓄積され、身の色が赤く変化していくと言われています。人間がみかんを食べすぎて黄色なってしまうのと同じようなものです。

ちなみに、サーモンの卵であるイクラもオレンジ色をしているのは同様にアスタキサンチンの影響によるものです。

アスタキサンチンは今注目の美容成分

このアスタキサンチンはいま現在、美容業界でかなり注目されているようです。

抗酸化力が非常に高く、老化を促進する『活性酸素』を抑えると言われており、サーモンはすでに海外では人気の美容フードとなっているようです。

しかしこのアスタキサンチンは熱に弱いため、加熱調理してしまうと、せっかく美容効果が無くなってしまいます

美を意識してサーモンを食べる際は、生食がオススメです。人間の場合はサーモンを食べすぎても、おそらく肌がオレンジ色になることはありません。

<近藤 俊/TSURINEWS・サカナ研究所>