「サバ缶」のブームが継続中 郷土料理の「サバタケ汁」とは?

「サバ缶」のブームが継続中 郷土料理の「サバタケ汁」とは?

すっかり人気の加工食品として定着したサバ缶。人気の理由や、これを使った郷土料理についてご紹介します。

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サバ缶ブーム継続中

ここ数年、たびたび各種メディアで特集される食材となっているサバ缶。販売数も右肩上がりで好調が続いています。

「サバ缶」のブームが継続中 郷土料理の「サバタケ汁」とは?サバ缶(提供:PhotoAC)

サバ缶人気の端緒は、2013年頃に発生した「サバブーム」にあるのではないかとされています。不飽和脂肪酸であるDHAやEPAが豊富なサバは健康食品として注目され、やがてサバ缶としての流行が生まれたとされています。

その後、2019年の中頃には一旦ブームが落ち着くものの、2020年に入ると新型コロナウイルスによる巣ごもり需要により、再び人気が加熱。2020年は販売額が前年比で2倍に達した時期もあったといいます。

サバ缶人気の歴史と理由

日本における缶詰の歴史は明治時代から続いていますが、サバ缶については起源があまりはっきりしないようです。海外への輸出もされた鮭缶、カニ缶などと比べると地味な存在であったサバ缶は、当初、国内では味噌煮や味付、照焼など和風に味付けされたものが主体でした。

しかし食の洋食化や多様化の影響を受けて、サバの水煮缶の国内消費量は徐々に増加。その国内消費量は、2002年に4,833tだったものが、2018年には23,343tと倍弱にまでなっています。

「サバ缶」のブームが継続中 郷土料理の「サバタケ汁」とは?利便性が高い(提供:PhotoAC)

農水省の資料では、サバ缶の人気について
・下処理が不要で、手頃な値段で購入ができること
・長期保存ができ非常食にもなること
・EPA、DHAなどの必須脂肪酸が多く含まれ健康的であるというイメージが強いこと
を理由としてあげています。

サバ缶は缶詰加工後に加熱するため、各種調理で抜けてしまいやすい不飽和脂肪酸をはじめとした栄養素が抜けておらず、生のサバを調理するよりも高い栄養価が期待できるという点でも魅力的です。

サバ缶の郷土料理

このように、庶民的な食材として長らく人気を博しているサバ缶。長野県や新潟県の内陸部には、このサバ缶を使って作る、初夏にピッタリの「郷土料理」が存在します。

それは「サバタケ汁」。名前の通り、たけのことサバ缶を具に使った味噌汁で、たけのこの香りとサバの青魚の風味が非常によくマッチしています。

「サバ缶」のブームが継続中 郷土料理の「サバタケ汁」とは?サバタケ汁(提供:PhotoAC)

当地では、初夏に発生する「ネマガリタケ」という天然のたけのこがあるのですが、サバタケ汁にはこれを用いるのが一般的。初夏の味として馴染み深い存在なのです。

サバタケ汁が愛されるのは、海の魚がなかなか手に入らない山間部。サバ缶はその携帯性から、海から遠い土地にも海の風味をもたらす食材として尊ばれたのでしょう。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>