ペットボトルでの釣りが話題に 意外とある【釣り針を使わない釣り】

ペットボトルでの釣りが話題に 意外とある【釣り針を使わない釣り】

釣りにおいて最も重要なのは「釣り針」……ですが、探してみると意外と「釣り針を使わない釣り」があるようです。

(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)

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その他 サカナ研究所

ペットボトルで釣り成立?

いま、マレーシアの女性による特殊な「釣り」の動画が世界的に話題になっているのをご存知でしょうか。

ショート動画のSNSに投稿されたその動画を見ると、水辺に立つ女性が「釣り」に使っている仕掛けは「ペットボトルにコルクを取り付け、さらにヒモをくくりつけた」といったもので、釣り針は使われていません。

ペットボトルでの釣りが話題に 意外とある【釣り針を使わない釣り】ペットボトルで釣り?(提供:PhotoAC)

女性がペットボトルに小麦粉を入れて水面に投入すると、水面に浮かぶその仕掛けの周りにすぐに波紋が起こります。ヒモを引っ張ると、20cmほどの魚がペットボトルの中に頭を突っ込んだ状態で上がってきました。釣れている魚はどうやらボラの仲間の一種のようです。

この動画を撮影した人も、女性に釣り方を教わりながら試しにやってみたところ、短時間に複数匹を釣り上げることができたそうです。

針がなくても魚は釣れる?

この動画の「魚釣り」は釣り針を使っていないので、厳密に考えれば釣りではなく漁だとするべきかもしれません。

しかし一方で、読者の皆さんの中にもこのような「釣り針を使わない釣り」の経験がある人は多いのではないかと思います。それはずばり「ザリガニ釣り」です。

ペットボトルでの釣りが話題に 意外とある【釣り針を使わない釣り】ザリガニ釣り(提供:PhotoAC)

多くの場合、ザリガニ釣りでは釣り針を使わず、餌のスルメなどに直接糸を結びます。ザリガニは非常に貪欲なため、餌のスルメをハサミで掴むとなかなか離しません。そのため釣り針がなくても釣り上げることができます。

南の島で行われる「釣り」にも、釣り針を使わないものがあります。その「釣り」では、生きたアジの尾びれに直接糸を結び、海中を泳がせます。ターゲットとなる魚食魚がそのアジを丸呑みにしたところで糸を引っ張ると、全身に尖った部位の多いアジがターゲットの喉にうまく引っかかります。そのため針がなくても釣り上げることができるといいます。

伝統釣法「数珠子釣り」

実は我が国にも、釣り針を使わない伝統釣法が存在します。それは「数珠子釣り」。

この釣りでは、餌のミミズやゴカイにタコ糸を通し、数珠のような輪にしたものを用います。数珠子と呼ばれるそれを、海底にいるハゼやウナギなどの前に落とすと、口いっぱいに頬張るようにして食いつきます。

ペットボトルでの釣りが話題に 意外とある【釣り針を使わない釣り】針ではなく「数珠」で釣る?(提供:PhotoAC)

ハゼやウナギの口には細かい歯が生えており、これがタコ糸に引っかかってしまうことで、釣り針がなくても釣れてしまいます。また彼らは貪欲で食いつく力が強いため、口に餌そのものが引っかかった状態で上がってきてしまうのだとも言われています。

かつてメッカであった宮城県の松島湾周辺では、今でもこの数珠子釣りでハゼを釣る人がいるそうです。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>