再開以降4年目の商業捕鯨がスタート 捕獲量上限達成は未だなし

再開以降4年目の商業捕鯨がスタート 捕獲量上限達成は未だなし

30年ぶりに商業捕鯨が再開されて以来、4回目となる捕鯨シーズンが始まりました。現状はどのようになっているのでしょうか。

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再開以降4年目迎える商業捕鯨

我が国の商業捕鯨が再開されてから、今年の7月で丸3年が経過しました。4月に宮城県で漁期がスタートし、現在は4年目となる漁が実施されています。

商業捕鯨は日本の国際捕鯨委員会(IWC)脱退に伴い、2019年の7月に実に31年ぶりに再開。翌20年には、かつて全国一の捕鯨基地であった宮城県石巻市の鮎川港を拠点とするミンククジラ漁が、32年ぶりに復活しました。

再開以降4年目の商業捕鯨がスタート 捕獲量上限達成は未だなしミンククジラの刺身(提供:PhotoAC)

現在、我が国での商業捕鯨ではミンククジラのほか、ニタリクジラなどが漁獲されています。

「商業捕鯨」と「調査捕鯨」とは

日本の捕鯨の歴史は、12世紀ごろに始まるとされています。その頃は手銛による原始的な捕鯨が行われていましたが、やがて組織的な捕鯨の技術が各地に伝わり、19世紀末には近代捕鯨がスタート。その頃は世界中でクジラが盛んに漁獲されていました。

しかし第2次大戦頃からクジラ資源の減少が叫ばれるようになり、IWCが結成され、食用・商業用のためにクジラを獲る「商業捕鯨」を中止しようという動きが世界的に起こりました。それに追随する形で日本も、1980年代末に南氷洋での商業捕鯨を中止、資源量や生態の調査を目的とした「調査捕鯨」に切り替えたのです。

再開以降4年目の商業捕鯨がスタート 捕獲量上限達成は未だなし鯨肉のユッケ(提供:PhotoAC)

しかしクジラ資源の減少、また商業捕鯨の中止の必要性について科学的な根拠が示されて来なかったこともあり、1990年代からノルウェー、アイスランドなどの捕鯨大国が次々と商業捕鯨を再開。IWC内部で捕鯨国と反捕鯨国の対立が激化し、正常化会合が行われましたが幾度も失敗、機能不全に陥りました。

そして日本も2019年にIWCを脱退、商業捕鯨を再開させる運びとなったのです。それでも乱獲を防止するため、脱退後もIWCで採択された方式をもとに自主的な捕獲枠を定め、資源量に配慮しながら捕鯨を行っています。

またIWC脱退に伴い南氷洋での捕鯨ができなくなったこともあり、現在は領海ならびに排他的経済水域内で商業捕鯨が行われています。

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