カヤックフィッシングの『今と未来』 西伊豆のモデルケースとは?

カヤックフィッシングの『今と未来』 西伊豆のモデルケースとは?

昨今急激に人気が広まっているカヤックフィッシング。海上でもよく目にするようになってきました。そこで今回は、西伊豆でカヤックフィッシングツアーを展開するロッジモンドさんに、人気急上昇の裏側にある課題や今後についてお話を伺いました。

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(アイキャッチ画像提供:LODGE MONDO)

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船釣り シーカヤック

カヤックフィッシング

カヤックフィッシングはここ数年で一気に人気が高まったマリンアクティビティです。海面からの距離が近いので海との一体感が強く感じられるほか、自由気ままな釣りスタイルが可能な点も人気の要因のひとつでしょう。

ただ、東京湾などではカヤック、SUP、レンタルボート、遊漁船が入り混じる海域もあり、ルールの制定やマナーの周知が急がれるという一面もあるようです。今回は、西伊豆でカヤックフィッシングツアーを提供する『LODGE MONDO』(ロッジモンド)の松本さんにお話を伺いました。

カヤックフィッシングの『今と未来』 西伊豆のモデルケースとは?人気上昇中のカヤックフィッシング(提供:LODGE MONDO)

ツアー提供のきっかけ

宿泊やマウンテンバイクツアーなど、さまざまな観光事業を展開されているロッジモンドさん。なぜカヤックフィッシングツアーを始めたのでしょうか。

LODGE MONDOのスタート

2012年から西伊豆の山中に眠っていた古道を再生させたマウンテンバイクツアー(YAMABUSHI TRAIL TOUR)を立ち上げて、観光事業をスタートさせました。伊豆エリアの新しい山の観光として注目されて年を追うごとに集客も増えていきましたが、地域の宿泊施設が後継者不足により10年で半減していることが判り、この地域の観光の未来を考えると自分たちでも宿泊施設を運営するべきだと考えました。

この西伊豆エリアでは昔ながらの食事付きの民宿や旅館などはありましたが、海外では一般的な素泊まりの宿は少なかったので、ゲストハウスやホステルに近いスタイルの宿をつくることに。ちょうど廃業したペンションが売りに出されていたので購入し、自社で取り組んでいる森林整備事業で伐採した地元の木材を使い館内をセルフリノベーションし、2018年よりLODGE MONDO -聞土-をスタートさせました。

カヤックフィッシングツアーを開始

14年前に西伊豆へ移住してきたのですが、その頃からカヤックに乗り釣りを楽しんでいました。既に山のアクティビティであるマウンテンバイクツアーと、ロッジモンドという滞在ができる拠点があったので、山と海とを繋ぐようなアクティビティをつくろうと考えた時にカヤックフィッシングのサービスを思いつきました。

特に大きなきっかけとなったのが2020年からはじまったコロナ禍でもあります。その時は西伊豆の運営している宿泊施設やツアーもすべて緊急事態宣言で休業要請がだされました。自分には子どもが4人いて、そのなかで収入が絶たれてしまう訳ですから、自分の力で食料調達をと思い、毎日カヤックで海に出て魚を釣って暮らしていました。

いきなり収入ゼロになった宿オーナーが、家族6人の食料を釣りながら過ごしたコロナ生活の記録

そこで思ったが、やはりカヤックは本来狩猟の道具だということでした。カヤックの体験ツアーは数多くあるにもかかわらず、カヤックフィッシングツアーは全国にほとんどありません。これを海のアクティビティサービスにするべきだとこの時に確信しました。

サービス展開の際の課題

カヤックフィッシングツアーをサービスとして提供し始めることを決めたは良いものの、実現までにはさまざまな課題があったようです。

サービス展開はスムーズだった?

カヤックフィッシングはここ西伊豆でも様々な問題が起きていました。例えばイセエビ漁がはじまる時期に、仕掛けている刺し網のすぐそばでカヤックで釣りをして網にルアーを絡ませたり、漁船や遊漁船が通る航路の真ん中でアンカーを打って、船がやって来ても退避行動をしなかったりと。中には静岡県では漁業権がないと禁止されているトローリングを行っている人たちも見受けられます。

カヤックや2馬力ボートの人たちも漁礁で釣りをする人たちがいますが、調べてみると漁礁で釣りをするには地元の漁協の許可が必要です。海は誰にでも開かれているフィールドではありますが、漁業権を含めたルールも様々に存在します。そのほとんどが知識が無いのと、教えてもらえる環境が無いことだと気が付きました。

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