侍Dr.近藤惣一郎のお悩み解決!フィッシングクリニック【イサキ多点掛け】

今日の問診票

今年もシーズン真っ盛りのイサキ釣りですが、自分なりに頑張ってはいるものの、やはりベテランさんは定量の50尾を釣りあげ、特に条件が厳しい日は、終わってみると自分とは釣果に大きな差が出ています。どこが違っているのでしょうか?

近藤 惣一郎 近藤 惣一郎

船釣り エサ釣り

診断結果:イサキ単発病

そうですね。イサキ釣りはタナが浅いことが多く、良い群れにあたれば初心者でもそれなりに数は出ます。
常連さん、ベテランさんとの釣果の違いは、如何に多点掛け・追い食いが出来るかどうかです。毎回1匹だけか、2匹3匹あげるかでは、同じ投入回数でも倍以上の差が出るのです。ダブル、トリプルの多点掛けにこだわった釣りをして、単発病を改善すれば、自ずと数は伸びるはずですよ。

処方箋

多点掛けをどんな条件でも狙って行うためには、魚がいるタナは勿論のこと、潮流の緩速、コマセの流れ方、竿の長さや調子、針の種類など、多くの要素を考慮した上で、意図的に行う必要があります。
同乗し数を伸ばしているベテランさんの動きだけを真似しても自分には釣れないことがあります。それは使用しているタックルや仕掛けが違えば、動きは同じでも海中のコマセと針の関係が異なったものになっているからです。

 

それでは、具体的に説明していきましょう。

仕掛け・刺し餌・針の種類

様々な条件下、海中をしっかりイメージして工夫を凝らすことで、多点掛け・追い食いがコンスタントに出来るようになればイサキ釣りの数を伸ばせるぞ!

イサキ仕掛けはハリスが細く、ヨレたり、鈍った針を使っていると追い食いはおろか、単発の掛かりもし難くなります。

糸ヨレや針先が鈍った時は便利な市販仕掛けを活用し、どんどん新品に交換することが大事です。

地域性や船宿によって多少のバリエーションはありますが、関東地方だとハリスは1.5~2.0号で全長3mの3本針が一般的です。

針はウイリー針にも使用されるオーソドックなチヌ針(2号)とネムリのあるムツ針(9号)があります。

【チヌ針】

チヌ針はシンプルで刺し餌にオキアミも使えますが多点掛けを狙うなら魚が掛かった時に外れにくいムツ針が断然有利です。

さしエサはカラー針やウイリー針の場合不要です。

【ムツ針】

ムツ針の場合はイカタンでも良いですが、最近は船宿がバイオベイトを数mm角に小さく切ったものを用意してくれます。

バイオベイトはエサ付けが簡単で餌持ちも良く、仕掛絡みの原因になりにくいので、手返し良く魚を釣ることができます。

オキアミは手返しが遅れたり海中で回って仕掛け絡みの原因になるのと、ウマズラハギなどの外道がかかりやすくなります。

ロッドの選択

イサキ釣りは如何にコマセ煙幕の中に正確に針を誘導できるかが勝負。
操作性と感度の良いタックルを手持ちに終日スタンディングで攻め続けよう!

仕掛けの跳ねを抑えることや食い込みを重視するあまり、軟調過ぎる竿や一昔前に置き竿として使っていた3m近い長竿を用いると、コマセのキビキビとした振り出しや正確なコマセ煙幕内への針の誘導が難しくなります。

8:2~7:3で操作性重視の先調子、コマセワークで竿を上げたときは胴に入り込まず、ビシが釣り人の操作にしっかり従って動いてくれながら魚が掛かってからはしなやかに曲がり込みバラシを軽減できる2m前後の竿が理想的です。

私が愛用しているリーディング82 MHは1.9m、73MHなら2mとベストチョイスになります。

実はこの2mという長さは長竿に較べ単純に操作が良いだけで無く正確なコマセワークや多点掛けに非常に有効になるのです。

それは2mの竿を30°上下すると竿の1/2の1m、45°だと2/√2の1.4m(≒1.5m)ビシ・仕掛けが動くという点です。

ラインマーカーを見ていなくてもこの感覚を掴むと正確な針の誘導を直感的に身体で出来るようになるのです。

コマセワーク

浅場なら勿論手巻きリールでも可能だが、電動リールは手返しを効率を上げてくれる。
特にリールをパーミングした腕の親指で巻き上げできる『JOGパワーレバー/DAIWA』を搭載した電動リールなら手元に気をとられること無く、サオ先やラインマーカーに集中し正確なコマセワークや多点掛け操作ができる。

船長はタナ20mの場合「23mまで降ろして20mでやって下さい」とタナ+仕掛け長さ(3m)降ろしてからタナまで上げることをその都度アナウンスします。

ビシがタナ+3mまで降り仕掛けが潮に馴染んだら、竿をしゃくりつつ仕掛けを1m上げる、これを3回繰り返してタナで待つのが教科書的なコマセワークです。

ただ最適なコマセワークとは船上での釣り人の動きではなく、実際海の中のビシから流れ出るコマセ煙幕と針が魚のいるタナで同調することであり、海中のイメージなくして出来る事ではありません。

もうすこし判りやすく表現すれば「自分の撒いたコマセ煙幕の中に針を誘導してアタリを出す」ことなのです。

たとえば潮が速い時はコマセの流れ方も速いので、無考慮に仕掛けを3mと上げてしまうと針はコマセ煙幕から外れてしまうことがあります。

状況によってはビシをタナより3m降ろさず、+1~2mにしたり、タナまでしか下げずにそこでコマセを撒いて仕掛けは巻き上げないほうが良い場合もあります。

教科書的には、その日の状況でしゃくり後のポーズを短くとったり長くとったりすることがアドバイスされていますが、結局は、コマセと針の最適な同調を作り出すことにイサキ釣りは尽きます。

そしてその延長に多点掛けがあるのです。

多点掛け(追い食い)のキホン

イサキシーズン真っ盛り。
今期も竿頭は各地でリミット数に達する好調ぶり。是非旬の釣りイサキ釣りに出かけよう!

多点掛けの基本はまず一匹を掛けることに始まります。

この一匹がどこの針に掛かるか、掛けるかで、多点掛けさせるためのその後の操作も異なってきます。

どの針に掛かったかは感度の良い竿を手持ちにしていれば魚信で判ります。

その意味も含め高感度な先調子ロッドを手持ちにする必要があるのです。

一番上針、つまりビシに近い針に掛かれば魚の引きは強く鮮明に感じられます。

逆に先針に掛かれば、それだけ遊びが出来て、引き込みが弱く感じられるのが一般的です。

【上針に掛かった場合】

1匹目が上針に掛かった場合、暴れる魚の動きで自ずとコマセが振り出され、ラインテンションを保つ程度にゆっくりリーリングしたりサオ先を持ち上げてゆくと、中針、先針がコマセ煙幕に誘導されます。

追い食いが成功するとサオの曲がりや手元に伝わる重量感がアップします。

【先針に掛かった場合】

一方魚信が小さく先針に魚が掛かったことが予想された場合は、上針・中針を魚のいるタナに降ろすイメージでサオ先を下げます。

その後しばらく待ったり、コマセを振り出すイメージで軽く竿を動かし追い食いを狙います。

待ちすぎたり、竿を動かしすぎるとせっかく掛かった1匹目も逃す場合があります。

ですから多点掛けを狙うなら、上針に一匹目を掛けることが理想的です。

先針に魚が掛かって来る時は魚の活性があまり高くないことや仕掛け位置がタナより少し高いこと、潮が速くコマセの流れが速いことが考えられます。

この場合50㎝タナを下げてみたり、コマセを振り出した後の仕掛けの巻き上げ幅を少なくしたり、敢えて行わないことで上針に喰わせることができる場合があります。

もっとも確実なのは仕掛けの長さ(正確には上針までの長さ)を30~50㎝ほど長くすることです。

ただイサキ仕掛けはハリスも細いのでなかなか面倒になります。

私の秘策はクッションゴムが20~30㎝であれば50㎝に交換することです。

これなら手間も掛かりません。

潮の速い日はこうすることでアタリも増え、1匹目が上針に掛かりやすくなり、追い食いもし易くなることを経験してきましたよ。

また針掛かりした魚が暴れてもビシの中にコマセが残っていなければコマセは振り出されず追い食いの確立が下がります。

私の場合、ビシの下窓は完全に閉めるか開けても僅か、上窓のみ1/3開ける位でコマセワークによるコマセの放出は絞り気味にしています。

これは単純に多点掛けに有利なだけで無く、イサキ釣りではコマセを撒きすぎると、潮下に流れるコマセを追ってイサキが船下から離れてしてしまうことを防ぐ意味もあるのです。

いかがでしたか?
是非あなたも定量の50尾を目指して多点掛けに挑戦してみて下さい。

 

近藤惣一郎医学博士・京大卒。SOグレイスクリニック院長。脳外科・美容外科専門医。DAIWA沖釣りフィールドスタッフ。
ロンリー侍ドクターとして各種メディアで活躍中。

<近藤惣一郎/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース関東版』2018年月日号に掲載された記事を再編集したものになります。